
空間的にも時間的にも隔たりのある異なる二つの言表であっても、そこに何らかの共通点、類似点、補足点といった連関性が見出されるならば、その二つの言表は対話関係を構築する。これはミハイル・バフチンが強く主張した考えである。ジュリア・クリステヴァはバフチンの主張をテクスト間の問題として捉え直し、間テクスト性という概念を提唱した。しかし、こうした関係を構築できるものは言語記号だけではない。ある絵画と他のある絵画、ある写真と他のある写真、ある映画と他のある映画においても見出し得るものである。もちろんこの関係を、ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリの用語に従って横断性と呼ぶことも可能であるが、どのような用語で呼ぶかは重要ではない。ここで探究しようと思う事柄が、以下で詳しく検討する映像作品の考察を通して想起された問題だからである。
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