
早稲田大学構内にある會津八一記念会館で5月10日から6月16日まで「【富岡展示】近代の日本画」という企画展が開催されていたが、そこに富岡鉄斎の描いた「南朝忠臣図」が展示されていた。これは12枚で一つのシリーズを構成する作品で、一枚の絵に一人ずつ、総計12名の忠臣が描かれたものである。鉄斎の絵の代表作ではないが、この作品は明治期の知の巨人の一人である鉄斎と当時の思想状況を考える上で重要なものであると共に、「忠臣」という歴史的フィクションを考える上でも興味深いコーパスとなるものである。それゆえ、ここでは鉄斎の忠臣図から派生していく歴史的、イデオロギー的な問題を中心として考察していこうと思う。
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